N-1αの測定結果で糖度を保証するには

生産者の方々が最もやりたい事と言えば、「糖度保証」だと思います。
“この箱に入っている果物の糖度はすべて◯度以上” などと記載があれば、お客様は糖度の分からない商品よりも安心して購入でき、購入の後押しになります。
非破壊糖度計N-1αでは、対象果実を傷つけることなくわずか1~2秒で糖度を測定できます。

N-1αを使った糖度保証の手順

果物全体の糖度を平均値を使って求める

まず、N-1αによる一回の測定によって、糖度を推測できる範囲をご理解いただく必要があります。
N-1αでは以下の図のとおり、直径35mm、深さ15mm程度 ( ※1 ) の範囲の糖度を推測することができます。
※1マンゴーのみ、直径35mm、深さ10mm

このことから、小さい果物であれば測定する点は少なくてすむのですが、大きい果物になればなるほど、複数ヶ所を測定することが望ましくなります。

例えばりんごですと、ある側面に対して反対の面の糖度が2度以上違うこともありますので、そのりんご全体の糖度を出すためには、少なくとも4ヶ所程度の糖度測定の結果を平均したものとすることをおすすめします。

糖度保証をする

測定した果物の全体の糖度から、下表記載の果物の品目・必要な保証度に合わせて、記載の糖度を差し引くと、糖度の保証が可能です

品目 保証度84% 保証度97.6% 保証度99.7%
リンゴ 0.5 1.0 1.5
1.0 2.0 3.0
マンゴー 0.7 1.4 2.1
イチジク 0.8 1.6 2.4
0.6 1.2 1.8
0.8 1.6 2.4
ビワ 0.5 1.0 1.5
サクランボ 1.2 2.4 3.6
トマト 1.0 2.0 3.0
スモモ 1.2 2.4 3.6
シャインマスカット 1.4 2.8 3.2
マクワウリ 1.1 2.2 3.3
ナツメ 1.1 2.2 3.3

表中数字の単位はすべて糖度(度)


(例)糖度保証15度でりんごを販売
・上記の表より必要糖度保証度84%で求める場合

N-1αの測定値 - 0.5度 > 15度

N-1αの測定値から0.5を引いても、値が15以上のりんごを選別することになります。

・上記の表より必要糖度保証度99.7%で求める場合

N-1αの測定値 -1.5度 > 15度

N-1αの測定値から1.5度を引いても、値が15度以上のりんごを選別することになります。
↓なぜこのようになるのか↓

標準誤差を理解する

N-1αの精度は「標準誤差」で表されます。
このウェブサイトには、下図のとおりN-1αで測定可能な品目ごとに、実際にN-1αとBrix糖度計(破壊型糖度計)を使って測定実験をした結果のグラフを掲載しています。

例:りんご用N-1αの測定データ



「標準誤差0.49」 ・・・N-1αを使ってりんごを測定した際に生じうる誤差の程度は0.49度
りんご用N-1αの標準誤差はおよそ0.5度となります。
※標準誤差は品目ごとにそれぞれ異なります。

一見、複雑そうに見えるかも知れませんが、内容は単純です。

中心の μ が、その果物の持つ真の糖度(Brix糖度)とします。


N-1αの測定結果は、真値( μ )から標準誤差( σ )分より低く表示される可能性が16%あります。


おなじく、真値( μ )から標準誤差の2倍( )分より低く表示される可能性は2.4%あります。


そして真値( μ )から標準誤差の3倍( )分より低く表示される可能性は0.3%となります。

つまり!!

ここに、どの面を測っても完全にBrix糖度が15度のりんごが存在するとします。
そのりんごを標準誤差0.5度の性能を持つりんご用N-1αで測定したとき、その測定結果は、

15(μ) - 0.5(σ) = 14.5度

より低く表示される可能性が16%あります。
逆に言うと、84%の確率で、14.5度よりも糖度の高い果物であると保証していただく事ができます。

また、2σの範囲で計算してみますと

15(μ) - 2 × 0.5(σ) = 14度 

より低く表示される可能性は2.4%あります。
逆に言うと、97.6%の確率で、14度よりも糖度の高い果物であると保証していただく事ができます。

3σの範囲で計算すると、

15(μ) - 3 × 0.5(σ) = 13.5度 

より低く表示される可能性は0.3%あります。
逆に言うと、99.7%の確率で、13.5度よりも糖度の高い果物であると保証できます。

その時に必要な保証度に合わせて、適切な標準誤差の倍率をお選びください。

また、糖度保証の際には測定前にオフセット値の設定をしっかりとしていただく必要があります。
オフセット値の設定の考え方につきましてはこちらをご覧ください。
具体的な設定方法につきましては取扱説明書「オフセットの設定」の項をご確認ください。
N-1αは熟度の補正ができません。オフセット調整した際の果肉の質と測定対象の果肉の質に大きな差があると誤差が出ます。

果物は一般的に果皮付近の糖度が高く、中心にいくにつれ低くなる傾向があります。
果皮から深さ15mmまでの果肉でオフセット調整した際には、果皮から15mmまで(果物の果肉を採取する深さまで)が糖度保証の対象になります。

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