シャインマスカットは、N-1の測定品目の中でもかなり測定方法がシビアな品目であり、初めから上手に測れるというお客様はなかなかいらっしゃいません。
そういう訳で、直接お電話でサポートさせていただく事も多いです。
そんな中で先日、福岡県のシャインマスカット農家、堤様にシャインマスカットの測定についてのご連絡をさせて頂きました。
堤様もシャインマスカット用N-1の使用についてお困りだろうかと思っての事でしたが、堤様におかれましては「何の問題もありません」というお言葉をいただきました。
(堤様より頂きましたN-1のご感想はお客様の声よりご覧頂けます。)
この事に私は良い意味で驚きまして、どういった測定をされておられるのかをお尋ねしました。
すると主に二点について、実に理に適った測定をされておられる事がわかりました。
- 夜明け間もない時間に測定している
- シャインマスカットのふさの中の3点を測定している
それぞれについてご説明させていただきたいと思います。
夜明け間もない時間に測定している
N-1で果物の糖度を測定するには、果物全体が均一の温度で安定している必要があります。
この温度の安定に最も大きな影響を与えるのが太陽です。
特に直射日光が果物に当たると、果物表面の温度と、果汁が循環している内部との温度差が生じてしまい、これはN-1の糖度測定に誤差が生じる原因となります。
その上シャインマスカットは一粒一粒の質量がそれほど大きくはなく、熱容量が小さい為に少し風が吹く程度でも温度が変化してしまう事が予想されます。
従って風の少ない日、太陽の影響がなるべく少ない夜間から朝方にかけてが最も誤差要因の少ない測定ができると考えられます。
シャインマスカットのふさの中の3点を測定している
これはシャインマスカットにかぎらず、果物全般に言える事ですが、一つの果物の中でも糖度の高いところと低いところがあります。
シャインマスカットで言えば、一般的には肩の部分が最も糖度が高く、一番下(お尻)の部分が最も糖度が低いと言われているようです。
堤さんは、肩の部分と、お尻の部分、そしてその2点を結ぶ真ん中の部分(腹)のシャインマスカットの粒の糖度を測定し、その平均をそのシャインマスカット一房の糖度と見なすという運用をされておられるようです。
この方法を採る事によって、シャインマスカット全体の糖度を効率よく把握する事ができるようになります。
シャインマスカット用N-1の測定の精度について
さらに言えば、シャインマスカットの粒一つを測定するにしても、何度かの測定結果の平均で導いていただくのが良いのではないかと、私は考えています。
と言いますのも、シャインマスカット用のN-1の測定精度は標準誤差にして0.8~1.0度というものだからです。
これは、100回測定中の68回(68%)が本当の糖度に対して±0.8~1.0の範囲内に収まるという事になります。
また、100回測定中の95回が(95%)が本当の糖度に対して±1.6~2.0の範囲内に収まるという事でもあります。
この事から、同じ場所を何度か測定していただき、その平均をもってして、その一粒の糖度とみなしていただく事によって、より精度よくシャインマスカットの測定をしていただく事が出来るようになると思います。
他にも、シャインマスカットの測定については、「シャインマスカット測定時の注意」をご覧いただけると、おわかりいただけるところも多いかと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。