透過率測定モードについて

豊水梨によく発症する蜜症を判別する機能として、梨用N-1αには以前から「透過率測定モード」を標準で搭載していました。
この機能は、マンゴーの果肉障害の1つであるスポンジ果肉症の判別にも有効であることがわかりました。マンゴー『スポンジ果肉症』の判別について
スポンジ果肉症

他の品目においても果肉障害の検出に利用できる可能性がありますので、今後は「透過率測定モード」を全てのN-1αに標準で搭載することにしました。

本資料では、豊水梨の蜜症の検出について記載しておりますが、マンゴーのスポンジ果肉症についても同様の方法で判別が可能です。

外見では蜜症かどうかはっきりしない豊水梨のサンプルですが、

内部の一部に蜜症が確認できます。

全体的に均一に蜜症が進行する場合もあるようですが、多くの場合一部の果皮から内部にかけて発症します。

このサンプルの場合、D点付近が最も蜜症が進行しています。
N―1αでは、このような部分的な蜜症を切らずに識別することが可能です。
ただし、芯部に発生する蜜症はN-1αの光が届かないため、感知することができないことを予め御了承ください。
N―1αで、A, B, C, D の4点の透過率(以下Tと表記)を測定することで、その値の違いにより D点付近に蜜症の疑いがあることを切らずに知ることができます。収穫前の識別にも利用できる可能性があります。
このサンプルのTをN―1αで測定すると次のグラフのようになります。

このように1つの梨におけるTの値が、測定する部位で大きく異なる場合は蜜症の可能性があります。蜜症の部位ではTの値は極端に大きくなります。(マンゴーにおいても、スポンジ果肉症の部位はTが大きくなります。)

又、このTは蜜症のみでなく梨の熟度を知る指標にもなりえます。品種によりその数値は異なりますが、未熟か適塾かの識別にも利用できる可能性があります。豊水梨の場合、Tの値は概ね1~4程度です。未熟ではTが小さく、熟度が進むとTは大きくなります。

今後、全ての N-1αに、この機能(透過率表示)を標準で搭載します。品目番号200「透過率」として追加します。お手持ちのN―1αに、この機能の追加をご希望の方は弊社へご連絡ください。無償にて対応致します。(機器の送料のみご負担をお願い申し上げます。)

※卓上測定用オプション装置での透過率測定について
液晶表示器を搭載する卓上測定用オプション装置(ND-1, ND-4)は、透過率の表示に対応しておりません。

透過率測定による果肉障害の判別は、疑わしい箇所とそうでない箇所を複数点測定する必要があります。
透過率の値が他の箇所より極端に大きい部分があれば蜜症の疑いがあります。(マンゴーのスポンジ果肉症も同様です。)
このチェックは、梨の状態を見ながらハンディーで行う方法が適しています。
このため、液晶表示器を搭載する卓上計測用オプション装置は透過率の表示に対応しておりません。ご了承ください。

(補足)

T(透過率)について

N―1αの測定ヘッドには、リング状の内側受光部と外側受光部があります。ヘッド中心から出射した近赤外線の光は対象果実の中を散乱します。この散乱光を2つの受光部で測定しています。T(透過率)は、この2つの受光部で受けた光量の比(外側受光レベル / 内側受光レベル)です。厳密に言うと、各受光回路の信号増幅度(ゲイン)を加味する必要があります。
つまり、Tは正確には(外側受光レベル×外側受光回路ゲイン / 内側受光レベル×内側受光回路ゲイン)です。

PAGE TOP